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思春期と成人期の知的障害のない自閉スペクトラム症に対するコミュニケーション・スキルの向上を目指した集団精神療法の成果 [ASD]

(九州神経精神医学、第60巻、第2号、平成26年8月15日発行)

研究と報告 
思春期と成人期の知的障害のない自閉スペクトラム症に対するコミュニケーション・スキルの向上を目指した集団精神療法の成果

吹田 恭子  医療法人愛命会泉原病院

思春期と青年期の、知的障害のないASD者の多くは、適切な相談機関や就職支援施設に出会えず、二次障害に苦しんでいるところに注目し、集団での療法を試みて成功例が出たという報告。

週に1回、60分、様々な訓練やロールプレイを行い、計79回、延べ参加人数は約320人。
登録者は、15歳から40歳の男性18人、女性7人、合計25人。
そのうち、4人がフルタイム勤務、3人がパートタイム就労、2人が進学に結び付いたという。

25人のうち3分の2ほどの人は、薬物療法を受けながらの参加、毎回全員が参加というものではなく、参加したりしなかったり、1回のみの参加で終わている人も数人いるが、一番多い人で50回以上参加している。

ASDの人たちの生きにくさを緩和するためには、薬物療法に加えて、認知行動療法などの何らかのセラピーが必要だと思うが、セラピストと本人の1対1の療法ではなく、集団で実施することに大きな意味がある。
顔なじみが増え、不安や緊張が少なくなり、心地よい居場所ができるし、困っているのは自分だけではないと感じることができる。
ロールプレイでは、自分が演じることだけでなく、他者のロールプレイを見ることで、同じ課題を繰り返し疑似体験でき、自分の言動を客観視できるような社会技能を身につけられる。
一般社会での多数派の技能を理解することで、生活の生きずらさを緩和できる。
褒められた経験が乏しいメンバーも、他者から褒められる経験を増やすことで、自己評価の改善や自己肯定感の回復ができる。

その他にも、メンバーひとりひとりの特性を見て、それぞれに対応できるプログラムや実施方法を工夫していることがうかがえる。

*****

25人のメンバーに対して、2年にわたる丁寧な取り組みが、就労などにつながるという成果に結びついたと思われるが、世の中に大勢存在する、生きずらさを抱えている就労困難なASD者に対して、同じような取り組みができるほど、発達障害の専門的知識や経験を持つ医師やセラピストは多くない。
もっと広く、このような取り組みがなされるように、ASDに対する知識が広まることを願う。

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コメント 1

Who am I?

論文を読んで下さり,更に紹介下さりありがとうございます。
今後の励みにしたいと思います。
by Who am I? (2017-05-17 14:06) 

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