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オキシトシンとバソプレシンが、精神疾患のバイオマーカーになりうるのか?ということについて、包括的かつ系統的なレビューと予備的なメタアナリシス [精神疾患]

Peripheral oxytocin and vasopressin: Biomarkers of psychiatric disorders? A comprehensive systematic review and preliminary meta-analysis

オキシトシンとバソプレシンが、精神疾患のバイオマーカーになりうるのか?ということについて、包括的かつ系統的なレビューと予備的なメタアナリシス

オキシトシンには末梢組織で働くホルモンとしての作用、中枢神経での神経伝達物質としての作用がある。

末梢組織では主に平滑筋の収縮に関与し、分娩時に子宮収縮させる。また乳腺の筋線維を収縮させて乳汁分泌を促すなどの働きを持つ。
このため臨床では子宮収縮薬や陣痛促進剤をはじめとして、さまざまな医学的場面で使用されてきており、その歴史は長い。最初は女性に特有な機能に必須なホルモンとして発見されたが、その後、男性にも普遍的に存在することが判明している。
また、視床下部の室傍核 (PVN) や視索上核 (SON) にあるニューロンから分泌され、下垂体後葉をはじめ様々な脳の部位に作用し機能を調節している。

 脳下垂体後葉から分泌されるもう一つのペプチドホルモンであるバソプレッシンは、オキシトシンに比べてわずか1、2個のアミノ酸が入れ換わったものであるが、その生理作用はまったく異なり、血圧上昇ホルモンとして知られ、血圧をあげるほか、腎臓(じんぞう)で水分を再吸収し尿量を調節するために抗利尿ホルモンともよばれる。

オキシトシンは母性のホルモン、バソプレシンは父性のホルモンと言われているが、これが不足すると人に共感する能力が低下して、コミュニケーションに障害を起こすと言われているため、これらのホルモンが精神障害のバイオマーカーになりうるのかどうかを検証したというもの。

結論としては、健常者・精神障害者・ASDで顕著な違いがあることを裏付ける決定的な、説得力のある証拠は見つからなかった、ということ。
それぞれの研究や実験で、方法論の違いやクオリティに差があったため、意味のある結果が欲しいのであれば、今後の研究では、検証され標準化されたものが必要だと述べられている。

自閉症の治療にオキシトシンが効くという話もあるらしいが、なかなか難しそうだ。

こちらは参考↓
「自閉症の子であるホルモンの不足が問題に、他人との共感能力を低下させる」
https://cuta.jp/9618
「オキシトシンとバソプレッシン  場末P科病院の精神科医のblog」
http://blog.livedoor.jp/beziehungswahn/archives/cat_1258808.html


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自閉症を脳回路から見分ける先端人工知能技術を開発―人種を超えたバイオマーカー・自閉症の実体:脳回路の変位― [自閉症]

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自閉症を客観的に診断する決定的な方法がまだ存在しないため、医師の価値観や経験によって、診断に違いがあると思われる。そのため、診断が欲しい当事者や保護者に、必要な診断が得られないという状況が考えられる。

もし、誰もが納得できる客観的な診断方法ができれば、これまでのように多くの時間と手間を減らし、診断を受ける側の多くの負担も軽減できるようになるだろう。

この研究では、自閉スペクトラム症(ASD)を脳回路から見分けるバイマーカーを、世界に先駆けて日本の研究グループが発見したというもの。

安静状態にある脳活動を、10分間MRIで計測し、脳を140個の小領域に分けて、各領域における機能的MRI信号の時間波形を取り出し、任意の2領域間でどの程度似ているかを相関係数として数値化して、ASD当事者と定型発達者の違いなどを調べることで、ASDの自動判別が可能になるそうだ。

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ASDを特徴づける機能的結合は、全体のわずか0.2%(16個)しかないそうで、全脳に分布する29個の小領域を結ぶ結合から構成されていて、それは、右下前頭回や上測頭溝など、先行研究で人の社会機能への関与が示唆されている部分だそう。

16個の機能的結合は、ASD診断の判別に有効なだけではなく、当事者のコミュニケーション障害度を測る指標ともなりそう。

また、この判別法は統合失調症、うつ病、ADHDなど他のデータにも適用して、類似性や違いが定量的に示すことができるようになったとのこと。
ASDと統合失調症の類似性は過去の遺伝子研究でも語られていたが、脳活動や脳回路図に基づいて類似性を示したのは、本研究が初めてだそうだ。

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さらに、今後この研究が進めば、複数のバイオマーカーを多次元的に組み合わせて、複数の精神疾患が脳科学的見地から見直されるようになり、診断と治療、さらには中枢神経系の創薬が進歩的になるだろうとのこと。

はたして、この診断方法は、巷の診断医や専門医に、どのぐらいの期間で普及するのだろうか。
できれば、すぐにでも普及してほしいが、費用も技量も必要なのだろうなあ。


http://www.amed.go.jp/news/release_20160414.html
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