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発達障害児を持つ母親の心理過程 -障害の疑いの時期から診断名がつく時期までにおける10事例の検討- [発達障害]

著者 目白大学大学院心理学研究科 相浦 沙織
   目白大学人間社会学部 氏森 英亞

目白大学心理学研究 2007年第3号 131-145

2005年の発達障害者支援法の施行から2年後に発表されているもの。

研究の目的:多くの問題を抱えている発達障害児を持つ母親に焦点を当て、時期を追って、母親の詳細な心理的過程を探る。

◆クライシス・ピリオド(CP)とは
①出産から障害の疑いの時期、診断前後の幼児期前期
②通園施設や幼稚園・保育所などの集団生活に入る時期
③小学校入学にあたって就学相談の時期
④就学後の時期
⑤思春期の時期

◆調査方法
小学校1年生から中学校1年生までの発達障害児を持つ母親10名を対象に、質問紙による調査と半構造化面接を実施。

(1)質問紙調査
・子どもの障害についての対象者の気づきから診断までの時期について
 障害の疑いの時期ときっかけ
 第三者からの障害の指摘の時期およびその相手
 指摘されたときの気持ち
 診断を受けたときの気持ち
・出産から現在まで受けてきたサポート

(2)面接質問項目
・出産から現在まで、子どもや家族が通所・利用してきた機関とその内容、満足度、子どもの様子、母親自身の気持ち
・子どものために、母親が最も強くストレスを感じた時期
・ストレスを感じた理由
・どんな援助が欲しいか

母親自身が障害を疑ってから診断名がつくまでの期間は、7か月から58か月と幅があり、平均では24.80か月(約2年1か月)の期間を要している。

障害を疑うきっかけは、10人の母親全員がクライシス・ピリオド。
自閉症の母親は平均して子どもが2歳以前に疑う。
障害を初めに疑った人は、母親自身が気づいたものが一番多い。

第三者からの指摘の疑いの指摘では、指摘の仕方や態度で、母親の子どもを認めることを阻害する要因になりうる。

「もう少し上手に幼児教室に促してくれていたら、1年早く療育を始めていたら、この子の成長に違いがあったのではないか。」

保健師から不快な障害の疑いの指摘を受け、1年以上専門機関にかからず、子どもと2人きりで引きこもり、クライシス状態が続いていた。

障害を認めることに対して葛藤があった母親は、10人中7人。
診断を受ける前は、子どもの状態の理由がわからず、ずっとつらかった。(10人中8人)
「自閉症」と診断されていない事例の多くは、診断名をはっきりと言ってもらえず、不安や葛藤を繰り返していた。
診断名が変更されることも、母親の気持ちを揺らす原因となっている。
診断名を言われても、母親はどうしていいかわからず、他の診断を求めて、他の医療機関を受診を繰り返す行動(ショッピング)。

「この子に合った療育をしてあげたくて、はっきりした受診名が欲しかった。」

10例のうちすぐに診断名を貰えたのは、1例のみ。

9例はすぐに診断名がもらえず、その間、他の病院を回ったり、月に10万円以上する針治療や教育など、良いと言われることを行っていた。

診断名を貰ってからは、気持ちがすっきりした、納得した、などの事例がある一方で、これから何をしていいかわからず不安だった、今頃という気持ちもありながら死にたいと思った、などという事例もあった。


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